骨とカルシウムのはなし 京都市伏見区 あおば整骨院
2017/08/28前回の骨の話ついでに、骨を構成するカルシウムの話をしたいと思います。
カルシウムは言うまでもなく骨を作ります。
幼少期の頃から牛乳は体に良く、飲まなければ骨が脆くなる、というぐらいにイメージが私たちには刷り込まれています。
ところが、そのイメージに 「待った」 をかける声もあるようです。
ここ最近、「うちの子には牛乳を飲ませないでください」と前もって断りを入れる親御さんも出てきているんだとか。
なぜそのような意見が出てきたのでしょうか。
欧米の研究データで、牛乳には発癌リスクがあると発表されたのがそもそものキッカケのようです。
牛乳には【IGF-1(インスリン様成長因子1)】というのが含まれており、それが増えると細胞の分裂・成長を促進し
細胞死を抑制するため、ガン化を促すといわれています。
すなわち、牛乳が含まれている乳製品全般が体に良くないという考えにも繋がるのです。
そして成長ホルモンを大量に投与された牛は乳腺炎にかかりやすく、そのため抗生物質も多く投与されることになり、
それが市場に出回り、私たちの口にも入るというのです。給食として、子どもたちに飲ませていい筈がない、という言い分です。
おまけにそもそも、牛乳は食品の中でも特にカルシウムの含有量が多いわけではないというのです。
例えば干しエビ、煮干し、ひじきなどの方が含有量が圧倒的に多く、カルシウムを効率良く摂取するのには向いている、
また、牛乳の成分の乳糖を体内で分解する「ラクターゼ」という酵素が、日本人やアジア人なら多くの人が哺乳期が過ぎると激減し、
牛乳を飲み過ぎると腹痛や下痢を起こして結局殆ど体が吸収することができない、というのです。
確かに、牛乳を飲むと条件反射の如くお腹を下す人が筆者の周りにもチラホラ挙げられます。
が、牛乳への理解を正しく持ち、体のメカニズムをひも解いていくと世の中のウソとホントが見えてきます。
例えば、前述の【IGF-1】は、過剰に増えると異常な細胞の増殖を引き起こしガン化に繋がると考えられていますが、
【IGF-1】は、牛乳の生産を上げるために牛に投与される【rBGH(遺伝子組み換え牛成長ホルモン)】に多く含まれています。
アメリカでは影響を懸念し「rBGHフリー」の牛乳が販売されています。
ところが【rBGH】は日本国内では使用が禁止されており、事実上日本の牛乳には混入していません。
また、牛乳のカルシウム含有量についてですが、牛乳1本でだいたい1日のカルシウム摂取目安量の1/3が摂れます。
残りはそれ以外の食品から摂ればよいのです。いくら煮干しやひじきが牛乳の何倍も含有量が多くても、毎日それらから摂り続けるのはなかなか困難です。
牛乳にはカルシウム以外にミネラルも含んでいるので、特に栄養が偏りがちな若い人や一人暮らしの人には手軽に摂れる栄養食品と言えるでしょう。
そして、牛乳の乳糖を分解する体内のラクターゼが私たち日本人やアジア人には少なく、消化不良を起こし腹痛や下痢の原因になる、という話ですが、
飲み過ぎると確かに腹痛や下痢にはなる可能性はあります。
ところで軟便になる原因で、遺伝子的要因以外に挙げられるもので何があると思いますか?
オーソドックスなところで
①風邪などで免疫が下がった状態で腸内に細菌やウイルスが増える
②酸化した油(揚げ物、生クリームなど)やアルコールの多飲
などがありますが、案外多いのは
③ストレスに起因する
特に体のメカニズムの違いから男性は女性に比べるとストレスに弱くお腹が弱い人が比較的多くいます。
お腹が痛くなるタイミングも朝や出勤途中、昼過ぎの会議前など、考えてみると牛乳以外にも十分に原因がありそうな感じではありませんか?
メディアやインターネットが充実して情報が得やすくなると、今度は膨大な情報の中から正しい情報をいかに選び出すかが鍵になります。
牛乳が悪者扱いされるほどの要素を(日本に住んでいる限り)実はほとんど持ち合わせていないことにお気づきいただけたでしょうか。
牛乳には、たんぱく質やビタミンCが含まれているので、適量であれば肝臓の機能を助け、
飲酒の際の悪酔いをいくらか和らげることもできそうです。
人間の体は少ない種類で構成されているわけではありません。
「これが体にいいですよ」とテレビで放映されれば、翌日からスーパーの陳列棚からその商品が姿を消すのはザラにあります。
なんでも摂り過ぎるのはよくありません。「過ぎたるは及ばざるがごとし」の言葉通りですね。
摂取の仕方によって、毒になるか、薬になるか。
私たち次第です。
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