「腰痛」とは、腰部(背中側の肋骨の下からお尻まで)に起こる痛みや
不快感の総称です。腰痛は病気の名前ではなく、様々な病気によって
引き起こされる症状です。
腰痛の感じ方は人によって異なり、ズキンズキン、ジンジン、ビリビリ、チクチクなど様々な表現で表されます。
また、腰が重く感じたり、筋肉が張っているような感じがすることもあります。
腰痛の主な原因としては、以下のようなものがあります。
腰椎の圧迫骨折、椎間板ヘルニア、腰部脊柱狭窄症、
細菌感染、がん、臓器や血管の病気など。
一方で、腰痛の85%はレントゲンなどの検査をしても原因が特定できなと言われています。
腰痛が3か月以上続く場合、それを「慢性腰痛」と呼びます。
腰痛になった場合の対処法は次の通りです。
ゆっくりと入浴し、腰に負担の少ないストレッチやマッサージなどで血行をよくし温める。
痛みがひどい場合は、我慢せずに鎮痛薬を使って痛みを和らげる。
症状を軽視せず、病院や整骨院で診察を受けることをお勧めします。
腰痛の原因は次のようなものが考えられます。
腰椎が直接障害される圧迫骨折・椎間板ヘルニア・腰部脊柱管狭窄
細菌感染・がん・臓器や血管などの病気
また、日常の姿勢や生活習慣も腰痛の原因として大きく関与しています。
具体的な原因としては以下があります。
運動不足・姿勢の悪さ・筋力不足・生理や出産による不調
家事・育児の負担・長時間のデスクワーク
腰痛がなかなか治らない原因はいくつかありますので、以下に説明します。
1. 脊柱管狭窄症:脊柱管(神経が通る空間)が狭くなり、神経に圧迫がかかることで腰痛が引き起こされます。
2. 椎間板ヘルニア:脊椎の間にある椎間板が損傷し、内部のゼリー状の組織が飛び出すことで神経に圧迫がかかります。
3. 変形性脊椎症:脊椎の変形や関節の変化により、神経や組織に負担がかかり、腰痛が生じることがあります。
4. 骨粗鬆症:骨の密度が低下し、脆弱になるため、脊椎の骨折や脊柱の変形が起こりやすくなります。
5. 不良な姿勢:長時間の不良な姿勢や姿勢の乱れが腰部に負担をかけ、腰痛を引き起こすことがあります。
6. 蓄積された疲労:長時間の重労働や無理な運動、過度な負荷によって、腰部の筋肉や組織に疲労が蓄積され、腰痛が生じることがあります。
7. 運動不足:腰部の筋肉が弱くなることで、腰の安定性が低下し、腰痛が発生することがあります。
8. 肥満:過体重や肥満は腰部への負担を増やし、腰痛を引き起こす可能性があります。
また、明確な原因が見つからず、検査しても異常がない場合もあります。腰痛の原因としては内臓の疾患やがんの可能性も考えられます。
内臓の影響による腰痛では、安静時や動作時に痛みの強さが変わらないことが多いです。
重篤な病気の場合では、悪心、嘔吐、発熱、夜間痛、排便障害などの症状も伴うことがあります。
このような場合は、すぐに病院を受診する必要があります。
医師の診断と適切な治療を受けることが重要です。
腰の痛みを治療する方法は、保存療法と手術療法の2つがあります。
保存療法では、姿勢や生活環境、職場環境などを改善しながら、痛みを和らげる治療を行います。
具体的な治療法は次の通りです
。
薬物療法:非ステロイド系の消炎鎮痛薬や湿布薬、血流改善薬、筋弛緩薬、ビタミン薬などの薬が処方されます。
ブロック療法:神経ブロックや関節ブロックといった注射により、痛みを抑える効果があります。
理学療法:身体の機能を改善するための治療法です。
運動療法:運動や身体のトレーニングを通じて筋力や柔軟性を改善し、痛みを軽減します。
装具療法:腰をサポートするための装具やベルトを使用し、負担を軽減します。
※薬物による治療は、病院で医師により行われます。
慢性的な腰の痛みに対しては、薬物療法、運動療法、ブロック療法などが用いられます。
これらの治療法は単独で使用されることもありますが、
しばしば組み合わせることでより効果的な結果が得られることが分かっています。
また、腰痛がある時には次のことに気をつける必要があります。
安静にしすぎないこと:適度な休息は必要ですが、長時間の安静は逆効果となることがあります。
座る椅子の選び方:背もたれや座面の形状が腰に負担をかけない椅子を選ぶことが大切です。ソファーはひかえましょう。
長時間同じ姿勢を続けないこと:長時間同じ姿勢でいると筋肉や関節に負担がかかりますので、適度に動きを取るようにしましょう。
原因が不明のまま患部を温めないこと:痛みの原因を特定せずに温めることは、炎症や悪化を引き起こす可能性があります。
これらのポイントに注意しながら、専門家の指示に従って治療を行うことが大切です。
腰痛が悪化すると、椎間板が潰れてさまざまな病気の原因となります。
椎間板が潰れて大きく飛び出した場合には、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症の原因になります。
また、椎間板が潰れて不安定になることで上下の背骨がずれやすくなり、
ずれが進むとすべり症の状態になります。
腰痛が悪化したり、3か月以上症状が続く慢性腰痛の場合は、整形外科を受診しましょう。
病院に行くときは、痛みの状態をより詳しく伝えるために、痛みの強さや痛みの種類を観察し、
メモを取るようにしてください。
腰痛の危険な症状には、次のようなものがあります。
下半身の神経症状(足に力が入らない、排便排尿時の感覚がわからない)を伴う腰痛
胸痛や腹痛を伴う腰痛
足のしびれや脱力感を伴う場合
排尿したいのにできない、残尿感がある場合
排便をしている感覚がない場合
腰痛がひどい場合は、一時的に鎮痛薬を服用し、早めに医療機関で診察を受けることをおすすめします。
腰痛が軽い場合は、次の方法を試してみてください。
ゆっくりと入浴し、腰に負担のかからないストレッチやマッサージなどで血行を良くし、温めることが考えられます。痛みがひどい場合は、我慢せずに市販鎮痛薬や医師の指示のもとで鎮痛薬を使って痛みを抑えることができます。湿布や塗り薬などの外用薬や内服薬(飲み薬)を使用することもできます。
筋肉疲労緩和などの目的でビタミン剤を服用することも考えられます。
運動不足からくる腰痛にはウォーキングがおすすめです。研究によれば、運動不足と運動する方では、運動をする方の腰痛リスクが低いとされています。腰痛診療ガイドラインでも推奨されています。
ただし、次のような場合には注意が必要です。
痛みがますます増すような場合は、冷やすことをやめてください。
激しい痛みの時期には、動かないようにしてください。
素人が揉んだり、温めすぎたり、ユーチューブやネットで検索して無理なストレッチをすることは避けてください。
痛みが軽くなった時期には、安静にしていることは避けてください。
腰痛の症状が軽くない場合は、一度病院や整骨院で診察を受けることをおすすめします。
危険な腰痛の見分け方には、以下のような特徴があります。
排尿や排便に支障をきたしている:トイレに行く際に困難を感じる、尿や便のコントロールができないなどの症状がある。
足に力が入らない:足が弱くなり、歩行や立ち上がりなどの動作で力が入らない感じがある。
何もしていないのに腰が強く痛む:日常生活の動作や負荷をかけずに腰が強い痛みを感じる。
体重が減少している:体重が明らかに減少しているが、その原因が分からない。
胸の痛みを伴う:腰痛と同時に胸の痛みや圧迫感がある。
時間や動きに関係のない痛み・だんだん悪化する痛み:特定の時間や特定の動作に関連せず、徐々に悪化していく痛みの変化がある。
説明のつかない体重減少を伴う:明らかな理由がないのに体重が減少している。
尻もちや転倒などをきっかけに痛みが始まった:転倒や怪我などがきっかけで腰痛が発生した。
安静時も動作時も痛みの強さが変わらない:休んでいても動いていても痛みの強さに変化がない。
悪心、嘔吐、発熱、夜間痛、排便障害などを伴う:吐き気、嘔吐、発熱、夜間の痛み、排便に問題があるなどの症状がある。
もし腰痛が10日以上続く場合は、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、腰椎すべり症、腰椎分離症など他の原因が隠れている可能性が高いため、医療機関を受診しましょう。
1カ月以上腰痛が続く場合は、必ず専門家に相談するようにしましょう。
早期に医療機関に相談する前提で、腰痛があるときには、以下のようなことに気を付けてください。
安静にしすぎない:必要な休息は大切ですが、適度に動くことも重要です。
座る椅子の種類:腰に負担をかける可能性がある椅子を避けて、
腰が楽な姿勢で座るように心掛けてください。
長時間同じ姿勢でいない:同じ姿勢で長時間いることは避けてください。
姿勢を変えたり、軽いストレッチを行ったりすることで、腰への負担を軽減できます。
原因が不明のまま患部を温めない:腰痛の原因がわからない場合は、患部を温めることは避けましょう。
温めることで炎症が悪化する場合があります。
腰に負担がかかる運動を避ける:腰に負担をかけるような運動は避けてください。
逆に腰を痛める可能性があります。
うつ伏せに寝ない:うつ伏せの姿勢では腰痛が悪化することがあります。
できるだけ横向きなど、腰に負担の少ない寝姿勢を選びましょう。
やわらかいベッドの使用に注意する:特にやわらかいベッドでは、体幹(胴の部分)が沈み込んで腰痛を悪化させることがあります。
適度な硬さのベッドを選ぶことが重要です。
腰痛を早く治すためには、以下のことに気を付けてください。
腰に負担がかからない楽な姿勢をとる:腰を軽く曲げて横向きに寝るなど、
負担のかからない姿勢をとると良いです。
日常の生活を心掛ける:できる限り通常の日常生活を継続しましょう。
過度な安静は腰痛の回復を遅らせることがあります。
適度な運動:腰の筋肉を強化するために、適度な運動を行いましょう。
専門家の指導のもとで行うことをおすすめします。
食生活による体重管理:適切な体重を維持することで腰への負担を軽減できます。
上半身の筋肉を鍛える:背中や腹筋を鍛えることで、腰の安定性を高めることができます。
不良姿勢の改善:正しい姿勢を保つことで腰への負担を軽減できます。
デスクワークなどで長時間同じ姿勢を続ける場合は、姿勢を正すための工夫をしましょう。
湯船で温まる:温かいお風呂に入ることで、筋肉の緊張を和らげることができます。
ただし、腰痛の原因や症状によっては、湯船での温浴が適さない場合もあるため、専門家の指示に従って行ってください。
以上のような注意点と腰痛の早期治療方法を守ることで、腰痛の症状を改善することができます。
しかし、腰痛が長期間続く場合や症状が悪化する場合は、必ず医療機関に相談しましょう。
腰痛の症状がどのくらい続けば医療機関に行くべきかは、以下のポイントに注意してください。
痛みが長期で続く場合:痛みが長期の場合は、医療機関での検査が必要です。腰痛の原因を確認するために専門家に相談しましょう。
痛みが2週間以上続く場合:ぎっくり腰などの症状は通常、数日から10日程度で改善します。しかし、痛みが2週間以上続く場合は、医療機関を受診しましょう。
腰の痛みが悪化した場合:腰の痛みがますますひどくなった場合は、すぐに受診してください。症状の変化に注意を払い、適切な治療を受けることが重要です。
下半身の痺れや歩行困難などの症状が悪化した場合:腰の痛み以外にも下半身の痺れや歩行困難などの症状が悪化する場合は、医療機関を受診するべきタイミングです。安静にしていても症状が悪化する場合は、早めに専門家の診察を受けましょう。
発熱や下肢のしびれなどの症状がある場合:腰痛とともに発熱や下肢のしびれなどの症状がある場合は、すぐに受診するようにしましょう。これらの症状は重篤な問題を示す可能性があります。
腰痛が主な症状の場合は、まずは医療機関を受診することが適切です。一方、発熱や腹痛など他の強い症状がある場合は、内科など他の専門家に相談することが良いでしょう。専門家の診断と指示に従って治療を受けることが大切です。
腰痛が強い場合は、安静にすることが大切です。
痛みの少ない姿勢で横向きに寝たり、お腹の下に座布団を入れてうつぶせに寝たり、足の下に座布団を入れてあおむけに寝たりします。
歩き始めは痛いが、少し歩いていると徐々に痛みが軽減または消失してくる場合は、歩いても大丈夫です。
腰痛そのものを改善するのは難しくても、再発や予防にはウォーキングの効果が期待できます。
ウォーキングを続けていれば、腹筋や背筋が鍛えられ、脊柱を支える力が高まり、硬くなった筋肉がやわらかくなります。
腰や膝に負担の少ない正しい歩き方は次のとおりです。
いつもより大股で歩く
足裏全体を意識する
膝を軽く曲げた状態で着地する
後ろに腕を引くイメージで少し早めのペースで歩く
無理して長距離を歩き過ぎない
腰痛がひどい場合は、安静にすることが大切です。
できるだけ痛みの少ない姿勢で横向きに寝たり、お腹の下に座布団を入れてうつぶせに寝たり、足の下に座布団を入れて仰向けに寝たりします。また、患部に氷枕を当てて冷やすことも効果的です。
しかし、翌日以降、痛みが軽減してきたら、積極的に動くことが重要です。
ただし、腰を直接動かすような動きは避けてください。しかし、腰を起こさずに下半身や上半身を動かすことで、腰に良い影響を与え、腰痛の緩和につながることが期待できます。
腰痛がある場合には、以下のことに注意してください。
激しい痛みがある時期には動かないようにしましょう。無理に動くことで痛みを悪化させる可能性があります。
素人で腰を揉んだり、マッサージをしたりすることは避けましょう。これが逆に痛みをひどくすることがあります。
温めすぎることも避けるべきです。適度な温度で温めることは良いですが、過度な温めは炎症を悪化させる可能性があります。
無理なストレッチは避けましょう。腰に負担をかけることや痛みを増すことがあります。特に腰を左右にねじるストレッチ運動は避けましょう。腰に負担をかける恐れがあります。
腰に負担のかからない、楽な姿勢をとりすぎは避けましょう。
安静にしすぎることも避けましょう。一定の休息は必要ですが、完全な安静は筋力低下や痛みの悪化を引き起こす可能性があります。
また、以下の場合には注意が必要です。
じっとしていても痛みが続く場合、または6週間以上続く痛み(特に夜間の痛み)がある場合は、注意が必要です。
背骨の腫瘍や骨髄炎、細菌感染が疑われる場合には、上記のような症状が現れる可能性があります。
これらの場合には、早めに医療機関に相談することが重要です。専門家が適切な診断と治療を行ってくれます。